(1)斜面上の物体にはたらく力
運動している物体に力が働くと速さや向きが変わります。
速さが変わる運動にはどういったものがあるでしょうか。
斜面を下る(上る)運動について考えてみましょう。
そのためには、斜面上の物体にはどんな力がかかるのか見ていきましょう。
重力は、斜面上において、
斜面に垂直な分力
斜面に沿う力
に分かれます。
斜面に垂直な力
斜面に沿う力
斜面が急なほど、斜面に沿う力は大きくなります。
※斜面に垂直な分力は抗力と釣り合うので注意!
(2)速さの増加する運動
斜面を下る運動になります。
重力の斜面に沿う力が働く
↓
早くなる!
※加わる力の大きさは一定
斜面が急なほど斜面に沿う力が大きい
→速さの変化が大きい’(早くなる)※質量は関係ない!
落下運動…重力が働く
斜面の角度が90°になったとき、斜面に沿う力が最大になる。(重力と一致する)その時の運動を
「自由落下運動」
といいます。
〇速さと移動距離のグラフ
重力が一定 → 斜面に沿う力が一定
縦軸は「10分の1秒間に進んだ距離」です。
距離はスタートしたところからの移動距離です。
時間 → 一定の割合で速くなる
「等加速度運動」といいます。
空気の抵抗がなければ1秒間に9.8m/秒ずつ速くなる
これを「重力加速度」といいます。
斜面の角度を大きくした場合、
点線 → 実線 のように、速さがさらに大きくなる
このように、運動している物体に力が働くと速さが変化します。
では、この速さというものは増加するだけなのでしょうか。
→そんなことはなく、速さが減少したり物体が静止してしまうこともあります。
ちなみに、この章の問題を解くときに、問題文中に「なめらかな…」という文言があった場合は、
「摩擦力は無視して考える」
ようにしてください。
ほかに空気の抵抗などもありますが、問題を解くうえでは基本的には「なめらかな…」の文言が入りますので、摩擦力が空気抵抗などで発生するということは覚えておいてください。
摩擦力…面と面が触れ合うところで物体の動きを妨げるように働く力。
(3)速さの減少する運動
速さが減少する → 運動方向と反対向きに力が働く
運動している物体に力がはたらくと速さや向きが変わります
(4)速さの変わらない運動
運動している物体に力がはたらかないとき、物体の運動はどうなるでしょうか。
「速さ・向きが変わらない」→力が釣り合っている(一定の速さで走る自動車、雨つぶなど)
速さ → 一定
移動距離 → 時間に比例する
※空気抵抗がなく、摩擦のない状態→力が働いていない、または働いていてもつりあっている
速さが一定で真っ直ぐ→
「等速直線運動」
といいます。
(5)慣性の法則
電車などに立って乗っている時、急発進をすると後ろに倒れてしまいそうになり、急ブレーキで止まると前のめりに倒れてしまいそうになります。このとき、自分の体は止まっているのに急に電車が発車しておいていかれそうになる、急に停車すると自分の体が進行方向にもっていかれる、といったように、すべての物体はいったん一定の方向などに運動をし始めると、その運動を続けようとします。それを慣性の法則といいます。
慣性の法則
(外から力がはたらなかいとき、またはつりあっている時)
条件
静止している物体 → 静止し続ける
運動している物体 → 等速直線運動
慣性とは…物体の持つ、その運動の状態を続けようとする性質。すべての物体が持つ。
(6)力をおよぼしあう運動
力のおよぼし合い
押す(作用)・押される(反作用)
2つの物体の間で必ず一対になってはたらく。
A → B
作用の力
B → A
反作用の力
①同一直線上
②反対向き
③同じ大きさ
※つり合いの力
例
作用・反作用と釣り合いの力は行動しやすいので注意!
作用・反作用の力…2つの物体の間ではたらく力
釣り合いの力…1つの物体にはたらく2つの力